無料点検を口実に自宅へ上がりこみ、不必要な商品を買わせます

公共機関を騙って信じ込ませるのが手口

高額な商品を飛び込みの訪問販売でいきなり契約まで持ち込むことは、例え商品がどんな魅力的でも難しいものです。

まして、その価格が相場よりもはるかに高いうえ、販売業者が人を騙してお金を稼ごうと考えている場合はなおさらです。

そこで「現在、○×の無料点検を行っています。少しお時間のほうよろしいでしょうか?」など、「無料」という言葉で相手を安心させて、自宅へ上がりこみ、「奥さん!床下をこのまま放置しておくと危険ですよ!」「直ぐにシロアリ駆除しないと、家全体がスカスカになりかねません」「現在の構造だと震度5の地震には耐えられませんよ!」などと不安感を煽って、本来必要のない商品やサービスを売りつける手口を「点検商法」といいます。

ターゲットになりやすいのは一人暮らしの高齢者で、阪神大震災や東日本大震災、数年前に問題となった耐震偽装問題などの不安に付け込んで、ニセの耐震チェックを行い、耐震補強が必要だとして、相場の何倍もの価格で補強装置を購入させたり、実際はシロアリ被害がないにも関わらず、予め用意したニセのデジカメ写真を見せて、不必要なシロアリ駆除サービスを契約させたりするのです。

このように住宅に関する被害が多いのが特徴で、「床下」「排水溝」「耐震強度」「アスベスト」「ハウスシック症候群」など、多くの人が不安に思っているキーワードに「無料点検」がセットになっていれば、注意が必要です。

仮に「そろそろ点検を依頼しようと思っていた」としても、たまたま訪問してきた業者ではなく、自治体や信頼できるところからしっかりした業者を紹介してもらい、料金と調査内容を把握した上で依頼するのが賢明です。そもそも、突然訪問して1回床下や天井裏を見ただけでその建物の構造上の欠陥や被害の程度を把握し、どの程度の工事が必要かなどがわかるはずがないのです。

似たような商法には「騙り商法」があります。これは「水道局のほうから来ました」「消防署から委託を受けてきました」などと、公共機関の職員やそこから委託された業者を名乗り、水道管の点検を行ったり、「法律で定められているから」と消化器の購入を迫る手口の悪質商法です。地上デジタル放送が導入された2011年には、「総務省」や「NHK」の職員を騙り、電波状態のチェックなどの名目でお金を騙し取っていたケースもありました。

「水道局のほうから来ましたが」と言われれば、一般の人は「水道局の職員」と考えると思いますが、業者は「水道局の職員とは言っていない。水道局の方角から来たという意味だから詐欺ではない」と主張するのが常套手段です。

騙されないためには、公共機関が訪問販売を行うことはなく、点検などの名目で現金を請求することは原則的に考えにくいということを覚えておきましょう。また、公的機関から依頼を受けたと主張する業者の場合には、名刺や社員証の提示を求め、公的機関に確認の電話をしましょう。この際、玄関のドアチェーンは掛けておいたり、インターホン越しに対応したりするなどして、絶対に業者を自宅に上がらせないようにしましょう。

訪問販売をする場合に事業者は「事業社名」「販売している商品やサービスの種類」「契約の勧誘のための訪問であることを」を告げる必要があります。これらを告げない事業者は違法であり、行政処分の対象にもなります。契約して契約書面をもらってから8日以内であれば、クーリング・オフが可能です。耐震補強工事などの場合は、例え工事が完了していたとしても8日以内なら同様にクーリング・オフが可能です。

「工事が終了しているから、クーリング・オフは無理だ!」という悪質業者の言葉を信じてはいけません。それどころか、業者は自ら費用を負担して、工事を行う前の状態に戻す義務(原状回復義務)すらあるのです。またクーリング・オフの期間が過ぎていても、消費者契約法による取り消しが可能なケースもあります。

しかし、確信犯的な悪徳業者はクーリング・オフを妨害するため、契約書にウソの業者名や連絡先を記入して、連絡がつかないようにすることも多いため、支払った代金を取り戻すことが困難なことも少なくありません。