高齢者に高額な健康食品、羽毛布団を売りつける

業者は行方をくらますのが一般的

商店街の空き店舗や貸し会議室、大型駐車場の空きスペースで、「健康食品○×ライフ即売会」などイベントが行われ、お年寄りがたくさん集まっているのを見たことはないでしょうか?そして、数週間もしないうちに店舗はすっかり消えてなくなっている…。こんな場合、それは「催眠商法」の業者かもしれません。

「催眠商法」とは契約の勧誘という本来の目的を隠して、主に高齢者を集め、集団催眠に似た雰囲気を作り出して、高額な健康食品、健康機器、布団などを売りつける悪質な商法です。

具体的な手口はこうです。まず、高齢者が多く住んでいそうなマンションなどに「野菜の激安販売会」や「先着50名様に日用品の無料配布!イキイキ生活応援フェア」などのキャッチコピーを掲げた広告を配ります。

会場では男性の司会者がお年寄りが喜びそうな四方山話を交えながら、激安商品を順に紹介していきます。商品は数に限りがあるので、早い者勝ちですが、欲しい人は大きな声で「ハイ!」と手を上げさせるのがいずれの悪徳業者にも共通しているルールです。

最初は文字通り、お得な商品が紹介されるため、皆一同に「ハイ!」「ハイ!」「ハイ!」と大きな声を出して手を挙げて、こぞって商品を手に入れようとします。この中には業者の仕込んだ「サクラ」も混じっています。徐々にヒートアップしていく会場の雰囲気に飲まれて、多くのお年寄りを一種の「集団催眠」状態にさせるのが目的です。

そうしておいて「次はいよいよ目玉商品の登場です!これは限定3名様のみ!用意はいいですか~!?」と期待感を煽ります。こうなると今まで買いそびれていた人は「今度こそ自分が買う!」と意気込み、「ぐっすり眠れる最高級羽毛布団セット!本来なら150万円のところが、今回はなんと98万円!」と一気に商品の価格帯が引きあがったにも関わらず、反射的に「ハイ!」と手を挙げてしまうのです。

業者は直ぐに「こちらの3名様で決まり!係のものが契約書を渡しますので、後ほどよろしくおねがいします!」と有無を言わせません。慌てて「こんな高額な商品が出てくるとは思わなかった。手を挙げたのは間違いです。」といっても、「一度買うといった以上は契約は成立している。」と強引に購入を迫ってきます。

また無料で商品を受け取った人をイベントが終わった後に、業者の事務所などに移動させて、軟禁状態にして、契約が成立するまで帰させないという被害も報告されています。暴力行為も厭わずに契約に持ち込むことが多いのも催眠商法の特徴で、数ある悪徳商法のなかでも特に悪質性が高いといえます。

以前は分割のクレジットで契約させるものがほとんどでしたが、最近はクーリング・オフで支払いを拒否されることを見越して、そのまま自宅までお年寄りを送り、キャッシュカードを持ってこさせて、銀行まで連れて行き、その場で現金で支払わせるケースが増えています。

会場はイベントの開催期間だけ短期契約で借りている仮の営業所に過ぎないため、一定人数に高額商品を買わせた後は、行方をくらませるのが定石です。そして、別の都市に移動して、名前を変えて同じようなイベントを行って荒稼ぎをしているのです。

通常の店舗以外の場所で行う販売行為は、全て訪問販売の扱いになりますので、法定契約書面を受け取った日から8日以内であれば、クーリング・オフが可能ですし、暴力や軟禁などで無理やり契約させられた場合には、消費者契約法で解約も検討できます。

ただし、いずれの場合も、業者が行方をくらませてしまって連絡がつかず、契約書に書いている業者の住所も嘘だった場合、救済を受けることは困難となります。警察や消費生活センターでも業者を見つけるのは困難なのが実情です。